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更新日:2024年1月1日
不当労働行為の審査のながれについて、御紹介します。
労働委員会は、労働組合又は労働者からの申立てを受け、申立人、被申立人双方の主張・立証を経た上で、使用者による行為が労働組合法第7条各号で禁止している不当労働行為であるかどうかを判断し、これに該当するとした場合には、使用者に対して命令を発します。
なお、審査手続の途中であっても、いつでも和解をすることができます。
1.申立て
不当労働行為救済申立ては、労働組合又は労働者が不当労働行為救済申立書を労働委員会に提出して行います。労働委員会は、提出された申立書を確認し、不備等があった場合には、補正をお願いする場合があります。
なお、申立ては口頭でも行うことができます。
労働委員会は、不当労働行為事件として審査手続を開始することになったときは、遅滞なく両当事者に対しその旨を通知します。
2.担当委員の決定
不当労働行為救済申立てがあったときには、会長が公益委員の中から審査委員(本県の場合は2名)を指名します。また、労働者委員、使用者委員が1名ずつ参与委員として手続に参加します。
3.答弁書、主張書面、書証、各申請書等の提出
労働委員会から不当労働行為事件開始の通知を受け取った使用者(会社)は、申立書に対する答弁書を提出します。答弁書の提出期限は、通知を受けた日から30日以内です。
また、当事者双方は、申立てに係る内容について、より明確にするための主張書面、事実の証明のための証拠(書証、人証)を提出することができます。書証については証拠説明書を、人証については証人等尋問申請書をそれぞれ提出する必要があります。
なお、手続を進めるに当たって、代理人(弁護士等)を選任したい場合や、手続を補佐するための補佐人を参加させたい場合には、それぞれ代理人申請書及び委任状、補佐人申請書を提出し、審査委員の許可を得る必要があります。
4.調査(事情聴取)
労働委員会は、申立人・被申立人・審査委員・参与委員が一堂に会する場で調査を行い、当事者双方の意見を聴取した上で争点や証拠を整理し、審査計画を策定します。審査計画書には、主な争点、証拠(書証、人証)、証人尋問の計画、審査進行(命令書交付時期)の目安などを記載します。
同時に、両当事者に和解の意向があるかを確認します。労働委員会から和解を勧める場合もあります。
調査は、非公開で行われます。
5.審問
不当労働行為の事実の有無を調べるため、労働委員会は、当事者又は証人を出廷させ、証拠調べ(証人尋問)を行います。
審問は、原則として公開(傍聴希望者の入場を認めます。)で行われます。
なお、申立ての内容によっては、審問が省略される場合があります。
6.公益委員会議(合議)
労働委員会は、審問が終了した事件について、公益委員5人による合議を行い、不当労働行為の成否についての検討、判断をします。
なお、公益委員は、合議に先立って、審査手続に参加した参与委員から意見を聴取し、この意見を踏まえ、不当労働行為の成否の判断をします。
7.終結
公益委員の合議を経て、命令書の写し又は決定書の写しの交付をします。また、両当事者の合意による和解や、申立人からの取下げにより終結する場合もあります。
(1)命令書の写し・決定書の写しの交付
申立て内容について、その全部を認める場合(全部救済)、一部を認めてそれ以外を棄却する場合(一部救済)、その全部を認めない場合(棄却)は、命令書の写しの交付をします。また、申立てについて、当事者としての要件を欠く場合、不当労働行為に該当しないことが明らかな場合などは、申立てを却下し、決定書の写しの交付をします。
茨城県労働委員会の発した命令や決定に不服がある当事者は、中央労働委員会への再審査の申立てや、裁判所への行政訴訟(取消訴訟)の提起をすることができます。
なお、一定の期間内に再審査の申立てがなされなかったことなどにより命令や決定は確定します。もし、使用者がこの確定した命令に違反した場合は、処罰(過料)の対象となります。
(2)和解
救済申立てがあったときは、命令書の写しの交付があるまで、いつでも和解をすることができます。和解は、労働委員会の関与により成立するもの(関与和解)と、両当事者間のみで成立するものや裁判所等の関与により成立するもの(無関与和解)があります。
なお、審査手続に参加した審査委員、参与委員が必要と認めたときは、これら委員から和解の勧告をすることがあります。
(3)取下げ
申立人は、申立てをいつでも取り下げることができます。
なお、和解が成立した場合にも審査の手続は終了し、取下げと同様の扱いとなります。
茨城県労働委員会では、不当労働行為の審査について「1年6箇月」以内の終結を目標にしています。
審査の目標期間は、茨城県労働委員会における全ての事件について達成すべき目標です。個々の事件については、審査計画において命令書の交付予定時期を定めます。
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