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更新日:2024年10月24日

脳卒中危険度予測ツール(一般向け)

■脳卒中危険度予測ツールとは?

 茨城県では独自に、基本健康診査の受診者約9万6千人の方を15年間にわたり追跡して、健診成績と脳卒中などの生活習慣病による死亡との関連を調査しました。その疫学調査の結果をもとに作られたのがこのツールです。
 これまで、健康診断を受けて、ご自分の結果が異常値であることはわかっても、それが将来の健康にどのくらい影響を及ぼすかは、意外とわかりにくかったと思います。
 このツールを使っていただければ、自分が将来、がんや脳卒中、虚血性心疾患(心筋梗塞)などの循環器疾患などにかかったり、死亡したりする危険度(リスク)がどのくらいあるかがわかります。
 また、生活習慣の改善などにより検査結果が良くなった場合を想定して、「改善値」を入力することにより、改善後の危険度(リスク)も表示されます。

注意!
このツールは40〜79歳までの住民で健診を受診された比較的健康な方の疫学調査結果に基づいて作成されたものであり、ここに表示される値や危険度などが、病気を持っている方などにあてはまるとは限りません。

目次

  1. 使用上の注意点
  2. 操作手引書(グラフの見方)
  3. 脳卒中危険度予測ツールダウンロードの方法
  4. 脳卒中危険度予測ツール作成方法
  5. 検査値を改善するには?
  6. Q&Aコーナー
  7. 脳卒中危険度予測ツール作成検討委員会メンバー
  8. 脳卒中危険度予測ツール使用の手引き

1.使用上の注意点

<ツールをご利用になる前に、必ずご確認ください。>

以下の1.〜3.のいずれかに該当する方は、このツールを使用しても、正確な結果が得られない可能性が高いので、参考程度にご覧ください。

  1. 年齢:40歳未満/80歳以上
    このツールは、40歳から79歳までの方を12年間追跡した疫学調査をもとに作成されていますので、原則としてその年齢の方が対象となります。
    なお、40歳未満あるいは80歳以上の方でも、年齢を入力すると死亡率が表示されますが、あくまで推定値であることをご了承ください。
  2. BMI(ボディ・マス・インデックス):30以上
    今回の疫学調査の対象者の中に、BMIが30以上の高度な肥満の方が少なかったため(全体の約1〜3%)、このような方については、正確な結果が表示できません。
    肥満症の治療については、かかりつけの医師にご相談ください。

    BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)の式で計算できます。
    例えば、身長160cmで体重78kgのでは、BMI=78÷1.6÷1.6=30.5となります。
  3. 脳卒中の既往歴がある
    すでに脳卒中などの治療を受けている方は、原則としてこのツールは使えません(今回の疫学調査の対象から、予め除外してあります)。正確な予測はできませんので、参考程度にしていただき、主治医の指示に従ってください。

<ご自分の検査結果を入力する際の注意点>

以下を参考に、「あなたの値」の欄に、ご自分の検査結果を入力してください。

入力項目 説明
年齢 原則として、40〜79歳の方を対象としています。
その前後の年齢の方も入力はできますが、推測の部分が大きくなりますので、あくまで参考値としてご覧ください。
BMI 身長に見合った標準体重の求め方はいろいろありますが、このツールではBMI(Body Mass index:ボディマスインデックス)という指標を使用しています。BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
身長と体重を入力していただけば、BMIは自動的に計算され、画面に表示されます。
このツールでは、疫学調査の結果に基づき、死亡率が最も低くなるBMI23〜27を「望ましい値」としています(BMI22を標準、25以上を肥満とする基準に比べて、やや肥満にしてあります)。
最高血圧(収縮期血圧) 心臓が血液を送り出すときに、血管の壁に加わる圧力を血圧といい、収縮して血液を押し出したときの圧力を最高血圧、元に戻ったときの圧力を最低血圧といいます。
例えば、測定時に「120の60(120/60mmHg)」と言われた場合、高い方の120が最高血圧です。
高血圧治療薬を内服している方は、薬を飲んだ状態での血圧値を入力してください。
高血圧治療薬内服中 現在、降圧剤を内服している方は、「はい」にチェックしてください。
 「はい」と答えた方は、上記の最高血圧の欄には、薬を飲んだ状態での血圧値を入力してください。
尿蛋白 (−)(+)(2+)のいずれかを選んでください。(±)の場合 は、(−)を選んでください。
尿蛋白が陽性の場合は、腎炎など腎臓の病気がある可能性がありますので、医療機関でより詳しい検査が必要です。ただし、高熱があるときや激しい運動の後でも陽性となることがあります。
中性脂肪
(mg/dl)
中性脂肪は、脂質を多く含む食事や肥満によって高値を示しやすく、高値が続くと動脈硬化を引き起こしやすくなると言われ、食習慣の改善や減量、有酸素運動によって低下します。
このツール上で「望ましい値」は150 mg/dl 未満です。
HDLコレステロール
(mg/dl)
HDLコレステロールは、いわゆる善玉コレステロールで、血管の内側に付着したコレステロールを肝臓に運び去る働きをします。従って、この値が低くなるとコレステロールが血管の壁に蓄積しやすく、動脈硬化を引き起こす原因になります。女性はホルモンの関係で男性より高めの傾向があります。
HDLコレステロールは、禁煙、魚の摂取、有酸素運動、肥満の是正によって増加します。
このツール上で「望ましい値」は40 mg/dl 以上です。
GOT(AST)
(mg/dl)
ほとんど全ての細胞に含まれている酵素であり、特にGOTは心臓、肝臓、筋肉に多く存在します。従って、肝臓や心臓に障害が起きて細胞が壊れると、これらの酵素が血液の中に流れ出し、値が上昇します。
このツール上で「望ましい値」は49 mg/dl以下です。
血糖値
(mg/dl)
血糖とは、血液中のブドウ糖のことをいい、組織細胞のエネルギー源となる大切な物質です。血糖値は通常、ある一定の範囲に保たれていますが、糖尿病の患者さんでは血糖値が高くなります。
なお、健康な人でも、空腹時に比べて食後の血糖値は高くなります。
このツール上で「望ましい値」は、空腹時では100 mg/dl 以下、食後では140 mg/dl 未満です。
食事 血糖値は、健康な人でも食事によって上下があります。
採血のタイミングが、食後であれば「あり」に、空腹時では「なし」にチェックしてください。
健診結果表では、食後に一定時間以上何も食べない状態で測った血糖を「空腹時血糖値」と、食後一定時間内に測った血糖を「随時血糖値」と表記されている場合もあります。
糖尿病内服治療中 糖尿病の治療薬を飲んでいる方、あるいはインシュリンを使用している方は、「はい」をチェックしてください。
「はい」と答えた方は、血糖値の欄には、正しく薬を飲んでいる状態(あるいはインシュリンを使用している状態)での値を入力してください。
現在喫煙状況 現在、喫煙している方は「あり」に、喫煙していない方は「なし」にチェックをしてください。時々吸う人や1日数本程度の方も「喫煙する」に含まれます。吸っているタバコのタールやニコチンの量、タバコの本数は関係ありません。
アルコール 1日あたりのアルコール摂取量を日本酒に換算して、選んでください。
酒1合は、ビール中びん1本(500ml)、ウイスキーやブランデーでダブル約1杯(70ml)、焼酎約1/2合、ワインでグラス約2杯に相当します。

 

2.操作手引書(グラフの見方) 

<グラフの見方>はこちらからご覧ください(PDF:61KB)

 

  1. 左上の5年予測、10年予測、15年予測を選択し、年齢、性別、自分の検査値を「あなたの値」の欄に入力すると、右側に病気ごとの5年、10年、15年以内の死亡率が、脳卒中と虚血性心疾患については、発症率も表示されます。
    グラフ下部に「あなたの値」が「望ましい値」と比べて、何倍であるかが表示されます。
  2. 右上のグラフの表示で、病気ごとの表示に切り替えるととができます。
  3. 左下の「あなたの値を確定」ボタンを押すと「あなたの値」が固定されます。新たに「改善値」を入力することにより、死亡率の変化を見ることができます。

<用語等の解説>

  1. 5年以内の死亡率・発症率とは…
    (例)
    発症率 5%の場合 : 同じような検査結果の人が100人いた場合、5年間に5人が病気にかかることを意味します。
    死亡率 0.2%の場合 : 同じような検査結果の人が1,000人いた場合、5年間に2人が死亡することを意味します。
  2. 10年以内の死亡率・発症率とは…
    (例)
    発症率 5%の場合 : 同じような検査結果の人が100人いた場合、10年間に5人が病気にかかることを意味します。
    死亡率 0.2%の場合 : 同じような検査結果の人が1,000人いた場合、10年間に2人が死亡することを意味します。
  3. 15年以内の死亡率・発症率とは…
    (例)
    発症率 5%の場合 : 同じような検査結果の人が100人いた場合、15年間に5人が病気にかかることを意味します。
    死亡率 0.2%の場合 : 同じような検査結果の人が1,000人いた場合、15年間に2人が死亡することを意味します。
  4. 県民の平均値とは…
    茨城県民の平成5年度の基本健康診査受診者の健診結果から算出した平均値です。
    男女別、年齢階級別(5歳刻み)により表示しています。
    なお、40歳未満では40〜44歳の平均値を、80歳以上は75〜79歳の平均値を使用しております。
  5. 望ましい値とは…
    一般的には、医療機関などで用いる基準値ですが、このツールにおける「望ましい値」とは、茨城県民を対象とした疫学調査において、死亡率が最も低い値を用いています。

<表示される5つのグラフについての説明>

  1. 脳卒中
    脳卒中による死亡率、発症率を示すグラフです。
    脳卒中とは、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血を合わせた疾患名で、脳血管障害とほぼ同じ意味です。
    ピンク色の棒が死亡率を、青色の棒が発症率を示しています。
  2. 虚血性心疾患
    虚血性心疾患による死亡率、発症率を示すグラフです。
    通常、虚血性心疾患とは、狭心症や心筋梗塞といった冠動脈疾患を指します。
    ここで示す死亡率については、心筋梗塞による死亡率とほぼ同じと考えて結構です。
    ピンク色の棒が死亡率を、青色の棒が発症率を示しています。
  3. 循環器疾患
    脳卒中と心疾患を合わせた全ての循環器疾患(循環器病ともいいます)による死亡率を示すグラフです。
    心疾患には、虚血性心疾患以外に心不全や不整脈なども含まれます。虚血性心疾患死亡は、心疾患死亡の約半分を占めています。
  4. がん
    いわゆる悪性腫瘍、悪性新生物による死亡率を示すグラフです。
  5. 全死亡
    全ての死因による死亡率を示すグラフです。病気のほかに外傷や事故などによる死亡も含まれています。

3.脳卒中危険度予測ツールダウンロードの方法

 茨城県では独自に、基本健康診査の受診者約9万6千人の生命予後を15年間にわたり追跡する調査を実施しました。
このツールは、この調査結果をもとに開発したソフトで、個人の健診結果を入力することにより、健診後5年間、10年間、15年間に脳卒中やがんなどの生活習慣病で死亡する危険がどの程度なのかを算出するソフトウェアです。
ここで示される結果は、あくまでも生活習慣病改善の参考情報ですので、あなた自身の生活習慣改善の糸口としてご利用下さい。
なお、このツールに関するプログラム並びに商業目的の無断使用を禁止します。また使用料は無料ですが著作権は茨城県に帰属します。

操作手引書及びQ&Aの内容を確認してから「脳卒中危険度予測ツール」をダウンロードしてください。

このソフトは,Microsoft Excelがインストールされているコンピュータで利用可能です。バージョンつきましては,Excel2000,Excel2002,Excel2003,Excel2007、Excel2010(ただし、マクロをON)での動作確認をしております。それ以前のバージョンのエクセルでは,正常に動作しません。

脳卒中危険度予測ツール(エクセル:582KB)

解凍方法
ダウンロードしたファイルをダブルクリックしてください。

解凍したツールが動作しない場合はこちらを参照してください。(PDF:615KB)

 

4.脳卒中危険度予測ツール作成方法

5.検査値を改善するには?

Q1.血圧が高い人はどうしたらいいの?(PDF:405KB)
 
Q2.肥満がある(BMIが高い)ときは、どうしたらいいの?(PDF:278KB)
 
Q3.やせている(BMIが低い)ときは、どうしたらいいの?(PDF:229KB)
 
Q4.中性脂肪が高いときは、どうしたらいいの?(PDF:223KB)
 
Q5.HDL-コレステロールが低いときは、どうしたらいいの?(PDF:223KB)
 
Q6.GOT(AST)が高いときは、どうしたらいいの?(PDF:342KB)
 
Q7.尿蛋白が陽性のときは、どうしたらいいの?(PDF:231KB)
 
Q8.血糖値が高いときには、どうしたらいいの?(PDF:260KB)
 
Q9.飲酒量が多いのですが、大丈夫でしょうか?(PDF:241KB)
 
 

6.Q&Aコーナー

質問1:(BMI高値)
BMIは26と肥満ですが、血糖値や血圧は正常範囲です。減量は必要ないですか?(PDF:251KB)
 
質問2:(BMIのほか、血圧・血糖も高値)
BMI26と肥満傾向があります。血圧、血糖ともに高めですが、総コレステロールは望ましい値です。「改善値」において体重を減らしてみましたが、死亡率に変化がありません。減量は必要ないのでしようか?(PDF:241KB)
 
質問3:(高血圧と降圧剤内服)
 
最高血圧165mmHgと血圧が高いので、医師の指示のもと、降圧剤を使って血圧を下げようと思います。改善値の「高血圧治療内服中」の項目で「はい」を選択したところ、元の「あなたの値」のグラフよりも死亡率が高くなってしまいました。降圧剤を服用するとかえってよくないのでしょうか?(PDF:236KB)

 
質問4:(降圧の目標値)
最高血圧が150mmHgとやや高いので、下げた方がいいと思い、改善値の欄を下げていったところ、100mmHg以下になっても下げれば下げるほど、死亡率が下がります。最高血圧はどの程度まで下げればよいのでしょう?(PDF:245KB)
 
質問5:(高血圧と尿蛋白)
血圧が高めで、尿蛋白が(++)です。死亡率を下げるにはどうしたらいいでしょう?(PDF:226KB)
 
質問6:(脳卒中の既往)
以前に脳卒中にかかり、今は高血圧の薬を飲んで血圧を下げています。ツールは使えますか?(PDF:231KB)
 
質問7:(飲酒と死亡率)
お酒を1日3合位飲んでいましたが、1合以下に減らそうと思います。ツール上で減らすと死亡率が高くなるのはなぜですか?また、禁酒をすると、さらに死亡率が上がるのはなぜですか?(PDF:243KB)
 
 

脳卒中危険度予測ツール作成検討委員会メンバー

〇磯 博康
 筑波大学大学院人間総合科学研究科教授

〇佐野 憲一
 (財)日立メディカルセンター 健診事業部業務課長 兼 健診技術部検査二課室長

〇古田 恒二
 取手北相馬保健医療センター医師会病院 健診科長 兼 検査科長

〇小谷松 毅
 (財)茨城県総合健診協会企画課係長

〇高野 千代
 大洋村健康増進課 保健師

〇入江 ふじこ
 茨城県鉾田保健所長

〇鳥山 佳則
 茨城県保健福祉部保健予防課技佐

〇事務局
 (茨城県健康科学センター)

  〇揚石 広行
   副センター長

  〇深澤 伸子
   調査研究部長

  〇塚越 真
   調査研究部主任

 (筑波大学大学院人間総合科学研究所)

  〇野田 博之

10.脳卒中危険度予測ツール使用の手引き

 

脳卒中危険度予測ツール使用の手引きはこちらからダウンロードしてください。(PDF:379KB)

 

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