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更新日:2020年6月22日
平成20年11月 きのこ特産部 林業技術センターでは,マイタケの原木露地栽培において,5月中旬から6月上旬を主とした春の時期にきのこが発生するという珍しい性質を持つ野生系統D1(以下,D1)の栽培実験を行っています(研究開発トピックス「露地で春に発生するマイタケ栽培の研究」)。 今回の研究では,D1の春に発生したきのこ(以下,D1(春))の形態的な特徴を把握し,食用きのことしての実用性を探る目的で,通常の秋(9月から10月)に発生した市販種4系統及びD1の秋に発生したきのこ(以下,D1(秋))との差異を比較しました。調査項目は,株立の形状(傘/柄重量比,長径/短径比,平均径/高さ比),傘部の形状(傘サイズ,切れ込みの多さ,傘肉の厚み,肉質の堅さ),傘部表面の特徴(傘表面色,環紋の有無,傘毛の量),傘部裏面の特徴(管孔部断面の曲り度合,管孔の付き方,管孔の形状,孔口凹凸の有無),柄部の形状(柄の長さ,柄の太さ,分岐度合)の全17項目です。 その結果,D1(春)は,市販種のきのこと比べ,傘部は,大形,肉厚,淡色,毛が多く,柄部は,扁平で太く,ボリュームが多く,D1(春)は野性味の溢れる形状のマイタケとなることが明らかになりました。また,D1(春)とD1(秋)を比べると,類似した形態的特徴を持つことから,D1の原木露地栽培では,秋に発生したきのこと遜色ないきのこが春に発生することが明らかになりました。特に,マイタケの柄部は傘部よりも美味しいことが知られているため,D1(春)の柄部が太くボリュームが多いという特徴は,D1の食用きのことしての販売戦略を考えるうえで,大きなセールスポイントになります。
表.各系統きのこの主な形態的特徴の差異
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