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更新日:2016年5月19日

樹木害虫の生態と防除に関する研究

研究報告No.23(要旨)

城県林業試験場は、1955年の開設以来40年間、各年代に発生した病害虫の生態や防除法を研究してきた。その結果、茨城県における主要な樹木病害虫の対応策は、十数種を除けばほぼ解明された。40年間の研究を総まとめしようとしたが、それらに関する報文は膨大なものなので、今回は害虫に関する302編をまとめた。

1.食葉性害虫

翅目害虫は、常に発生しており、1950、1960年代は最重要な研究対象であった。その中でもマツカレハ被害は全国的に知られ、生態や防除法、とくに天敵微生物-ウイルス-による防除法が熱心に研究された。ハラアカマイマイとアメリカシロヒトリのウイルスによる防除が実用化された。大面積に発生したホタルガとセグロシャチホコの殺虫剤による防除法が調査された。この他、多種類の鱗翅目害虫と寄生との関係が記録された。
虫目害虫も、多種類が発生した。その中でもアカアシノミゾウムシは広範囲にたびたび発生したので、生態や殺虫剤による防除法が熱心に調査された。カシワノミゾウムシとヤノナミガタチビタマムシなども広範囲に発生し、その生態や分布状況が調査された。
翅目害虫では、異常発生したのはマツノクロホシハバチのみで、その生態や分布状況が調査された。

2.穿孔性害虫

立木を加害する穿孔性害虫では、甲虫目は主要なものである。その中でもマツノマダラカミキリはマツノザイセンチュウの媒介者として、1970年代以降最重要害虫である。そのため、分布状況や生態、マツノザイセンチュウの媒介状況、化学的、生物学的防除法など多岐にわたる研究が実施された。西日本で問題になっているスギカミキリの分布状況や生態が調査され、現在は危険な生息密度でないと判断されたが、耕種的防除法などが試みられた。ヒメスギカミキリ、ヒゲナガカミキリ、シロスジカミキリ、ゴマダラカミキリ、センノカミキリなどの生態や殺虫剤による防除法が研究された。コウモリガなどの隣翅目害虫の生態や防除法も解明された。膜翅目キバチ類の生息密度も危険な状況でなかった。
倒丸太の害虫ではヒメスギカミキリ、オオゾウムシ、マツアナアキゾウムシ、ハンノキキクイムシが主要なもので、それらの加害時期や殺虫剤による予防法が解明された。
木の害虫4種、建築材の害虫11種が、加害樹種名とともに記録された。

3.吸汁性害虫

ハダニ、アブラムシ、カイガラムシなど多種類の吸汁性害虫が、加害樹種名とともに記録され、殺虫剤による防除法が調査された。マツモグリカイガラムシ、スギマルカイガラムシ、トウアマツカサアブラムシを除けば、ほとんどの種は寄主を枯らさなかった。

4.球果および新梢害虫

スギ・ヒノキの種子発芽率を低下させるカメムシ類の、マツ類の新梢や球果を加害するしんくいむし類の生態や防除法が解明された。マツ針葉基部を加害するマツバノタマバエの生態が調査されており、その耕種的防除法が解明された。

5.根および樹皮害虫

コガネムシ類の幼虫が苗畑の土中に恒常的に発生した。カブラヤガ幼虫がマツなどの稚苗の地際部樹皮を食害した。コオロギ幼虫がイチョウ苗木の樹皮を食害した。

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