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スギ採種園内で雄花量を調節した条件下での種子の稔性と自然自殖
研究報告No.19-2(要旨)
スギ採種園内で標識遺伝子をもつ精英樹稲敷2を試験木として、その周囲木とともに雄花量を調節した7試験区を設定して、種子稔性及び自然自殖を究明した。
1980~1982年の3ヵ年における飛散花粉量では1982年が他の年に比べ非常に多く、種子の重量、充実率も高く、豊作年の特徴を示した。しかし、年次別では、飛散花粉量の低減にともなう種子の稔性低下が本採種園では認められなかった。
採種園で生産された自然受粉の種子と人為的な他家受精の種子を比べると、自然受粉の種子の充実率は低く、かなり高い頻度で自然自殖が発生している可能性がある。
自然自殖率はGA3処理をして多量の雄花が着生している採種園内で高く、GA3処理をしていない比較的雄花の少ない採種園内では低い。そして、GA3処理をしていない園内では、相対飛散花粉量の値と自然自家受精花の少ない採種園内では低い。そして、GA3処理をしていない園内では、相対飛散花粉量の値と自然自家受精率(Rf)の推定値はほぼ一致した。
試験木に飛来する花粉のうち隣接した周囲木の花粉は54%と推定され、隣接した周囲木の雄花を除去したときには、とくにGA3無処理の園内では、自家花粉の比率が高まり自然自殖率が増大した。
更に隣接した周囲木とともに、試験木自体の雄花を除去したとき、自然自殖率(Rs)は1~6%自然自家受精率(Rs)は3~9%であった。この推定値には園内に散在する稲敷2のラメートと更に同じ標識遺伝子をもつ稲敷1のラメートの花粉による他家受粉が含まれていると考えられる。
自然自殖率(Rs)(または自然自家受精率(Rf))は測定年による違いが比較的少なく、測定された個体間での違いが大きい。
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