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令和2年度第3回霞ヶ浦の自然観察「霞ケ浦湖岸で野鳥を観察しよう!」と題して、野鳥の観察方法、霞ヶ浦湖岸周辺で観察できる野鳥の種類などを紹介しますので、皆さんの学習に御活用ください。
野鳥観察と言うと、「難しい」「双眼鏡を使ってもすぐに見失う」と感じる人が多いかもしれませんが、水鳥は湖面であまり動かないか、動きもゆっくりしているので、慣れていない人も双眼鏡を正しく使えば、たやすく観察ができます。
【双眼鏡の名称】
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【双眼鏡の倍率】
双眼鏡の接眼レンズの近くに「8×35」とか「10×50」と書いてあります。初めの数字がレンズの倍率で、後が対物レンズの口径(o)になります。
倍率が大きくなれば、遠くの物も大きく見えますが、覗いたときに見える範囲が狭くなり、対象物を見つけることが困難になります。対物レンズの口径が大きくなると見える視野が広くなりますが、双眼鏡が大きくなり、重くなります。野鳥観察には倍率が8倍か10倍、レンズ口径が30oから40oぐらいが適当でしょう。
【双眼鏡の持ち方】
接眼レンズを自分の方に向け、両手でレンズ筒をしっかり持ちます。
人差し指はピントを合わせるため、ピントリングに置きます。
【双眼鏡の使い方】
1.ストラップを首にかけます。
2.眼鏡をかけている人は目当てゴムを折り込みます。これにより覗き込んだ時に、視野の周りが黒くなることが防げます。
3.左右の接眼レンズの間隔を自分の目に合わせます。 覗いたときに視野が丸くなるように、ピントリングを中心にして、レンズ間を広げたり、狭くしたりして、合わせます。
4.左右の目の視力が違う人は視度調整リングで調整します。 視度調整リングが付いている方の目を閉じ、反対側の片目で見て、ピントリングを回して、ピントを合わせます。次に、目をつぶり直して、視度調整リングの付いている方を片目で見て、視度調整リングを回してさらにピントを合わせたら、調整完了です。
この時には遠く離れたものでなく、ある程度近い木や建物などを見ると合わせやすいです。
5.あとは、見たいものを視野に入れ、ピントを合わせます。見たい鳥を肉眼で見たまま、視線を動かさずに、双眼鏡の接眼レンズを目にあてれば、その鳥が見えます。 ピントリングはレンズを覗きながら人差し指で回します。
以上の作業を行うと、きれいな画像を見ることができます。
【注意事項】
ほとんどの水鳥の体色はオスとメスで異なります。以下では主に、見分けやすいオスについて記載してあります。また、水鳥の羽は水をはじくように油分があり、光沢で光っているので、見る角度により少し違う色にも見えます。多くの水鳥は夏と冬で羽の色が違いますが、霞ヶ浦で見ることができる季節の色を記載しています。
霞ヶ浦で見られる、サギの仲間で一番大きい鳥です。名前はアオサギですが、体の色は青くなく、どちらかと言えばねずみ色に見えます。霞ヶ浦周辺の林など、高い木の上に巣をつくります。時には、霞ヶ浦を離れた所に巣をつくり、朝夕に霞ヶ浦と巣を鳴きながら往復することもあります。
真っ白なサギは、よくシラサギと呼ばれますが、シラサギと名前がついたサギはありません。シラサギは白いサギを指す一般名です。霞ヶ浦の白いサギには、ダイサギか小さいコサギが留鳥としています。その他に夏鳥としてチュウサギが飛来します。
(写真撮影:川崎慎二氏)
水田で背を低くして、餌を狙っているコサギ |
サギの仲間は主に蓮田で見られますが、湖岸でも堤防や棒くいに止まっていることもあります。収穫の終わった蓮田に集団でいることもあります。
サギの仲間は蓮田や水田の中をゆっくり歩いているのが見られますが、これは餌を探しているのです。ドジョウなどの小魚やアメリカザリガニ、カエルなどを見つけると長いくちばしで捕まえます。水田で田起こしをしている時、トラクターの後ろについて、歩いているのが見られます。これは、田起こしで土の中にいる虫などが、上に出てくるので、それを狙っているのです。
(写真撮影:川崎慎二氏)
首から頭にかけてと背中が橙色をしているので、他のサギと見分けは簡単です。夏鳥で、冬にはいません。
湖岸より水田などで見られます。土浦市の桜川の学園大橋で他のサギとコロニーを造っています。
飴色(橙色)の体からアマサギと呼ばれています。
繁殖期は細く長い飾り羽が目立ちます |
ゴイサギの幼鳥 |
ずんぐりした体で、太い首をしていて、背中と頭が黒色です。繁殖期には頭に白く長い、2本の冠毛があります。
幼鳥は白い斑紋のある褐色をしていて、ホシゴイと呼ばれています。
夜行性で、霞ヶ浦周辺の蓮田や、流入河川で見られます。水際にジッとたたずみ、小魚やエビなどを捕まえて食べます。
蓮田に集まるオオバン |
オオバンのごつい脚 |
水中から出てきたオオバン |
オオバンの体は黒く、顔の鼻筋が白いのが目立ち、遠くからでも簡単に見分けられます。
オオバンは霞ヶ浦で泳いでいますが、蓮田でもよく見られ、蓮田に巣をつくっている鳥もいるそうです。
霞ヶ浦で一年中見られる鳥です。オオバンはカモに形が似ていますが、クイナの仲間で、カモよりもごつい足をしています。地上を歩く時、カモは左右に体を振り、ヨタヨタと歩きますが、オオバンは前後に足を動かし、スタスタと歩きます。
オオバンは短い時間ですが、水中にもぐり水草を食べます。
人がいない時は蓮田の道を散歩していることがあります。歩き方を観察してみて下さい。
霞ヶ浦で一年中見られる小型のカモです。潜水が得意で、水面を泳いでいる時に、サッと潜って消え、まるで忍者の様です。潜水時間は長く、離れた所で水面に出ます。水中で小型の魚やエビなどを捕らえて食べます。巣は枯草や水草を集めた浮巣を造ります。「キリリリリ」と高い声で鳴きますので、居るのがすぐにわかります。
(写真撮影:川崎慎二氏)
頭を水面につけて、サット潜水し、後には水紋が残ります |
首が白くて細長く、頭の上が黒い飾り羽があり、冠帽子をかぶっている様な姿をしています。くちばしは鋭くとがっています。
カイツブリと同様に潜水が得意な鴨で、堤防の近くで泳いでいるのが見られますが、すぐに潜ってしまい、1分ぐらい潜水しています。冬鳥ですが、カモの中では早い時期に渡って来ます。
カルガモは漢字では「夏留鴨」と書き、「夏に留まる鴨」と言う意味で、その通りに渡りをせず、1年中霞ヶ浦にいるカモです。
オスも他の雌カモのような、地味な色をしています。くちばしは黒く先端が黄色からオレンジ色、お尻に青い羽が目立ち、足はオレンジ色です。
「グエ、グエ」と太い声で鳴きます。
マガモのつがい |
オスは首から顔が緑色で目立ち、このカモのこと「青首」とも呼んでいます。
くちばしの黄色も目立ちます。メスは全体が褐色で黒いくちばしの先が黄色です。足はオレンジ色です。「グァー」「クワッ」と低い声で鳴きます。
アヒルはマガモを家畜化したものです。また、アイガモはマガモとアヒルの雑種です。
首から頭にかけて茶色で、鼻筋がクリーム色で目立ちます。くちばしは白で先端が黒く、体は灰色で、胸は茶色、お尻の羽は黒に白の羽が筋の様にあります。「ピュー、ピュー」と高い声で鳴きます。
水面にくちばしをつけて、餌を食べています |
名前のとおり、お尻の羽が長くピィーンと上へ伸びています。細長い白い首が目立ち、お尻にクリーム色の羽があります。
日本にいるカモの中で一番小さいカモです。
頭が茶色で目の所に鮮やかな緑色の帯があります。尻に三角形をしたクリーム色が目立ちます。
頭の頂上がこげ茶色で、首は緑色で、のどが白く、黒い輪があり、お尻に薄いクリーム色の羽があります。首の緑色から紫色の金属光沢は目立ちます。
頭を突っ込み水中にもぐるホシハジロ |
水中から出たホシハジロ、水がしたたり落ちています |
体は灰色、首は茶色で、胸と尻が黒い色をしています。くちばしは白く先端が黒色をしています。尾羽をほとんど水につけて、泳いでいます。
「クルッ、クルッ」と鳴きます。
草食性ですが、潜水もしてエビなども捕ります。
雌もくちばし先が広がっています |
先が丸く広がったくちばし |
大きなくちばしを水面につけて餌を食べます |
このカモはくちばしに特徴があります。水ごと餌となる植物プランクトンや浮かんでいる植物の破片、昆虫などを食べるので、くちばしの先が広がっています。食事の時はくちばしを水面につけて「ピチャ、ピチャ」音をたてます。白い胸で赤茶色の腹が目立ち、頭は青みを帯びています。メスは他のカモのように茶色ですが、オスと同様にくちばしは先が広がっているので区別がつきます。北国へ帰るのが遅く、3月から4月頃まで見られます。
電柱に止まり羽を乾かしているカワウ |
真っ黒い大きな鳥で、水に潜り魚を捕って、咥えて水面に出てきます。くちばしの先は捕った魚を逃がさないように、かぎ型に曲がっています。よく霞ヶ浦の水面にある杭の上に止まっているのが見られます。日差しがある時は、羽を広げているのが見られますが、これは濡れた羽を乾かしているのです。
〜鵜飼〜
鵜飼に使用するウはカワウでなく、ウミウです。ウミウの方がカワウより、体が少し大きく、水中での泳ぎもうまいので、鵜飼に使用されています。ウミウは保護鳥なので、勝手に捕ることができません。ただ、日本で1ヶ所、日立市鵜の岬で許可を受けた人が捕っています。そのウミウを日本全国の鵜飼をする人に供給しています。
コブハクチョウの親子 |
オレンジ色のくちばしをして、くちばしの付け根が黒く膨らんでいます。元々はヨーロッパのハクチョウで、日本で飼い鳥であったものが、逃げ出したり、放鳥されたりして、野生化しました。現在、霞ヶ浦で見られるハクチョウの多くがこのコブハクチョウで、夏は北海道のウトナイ湖で過ごしています。
霞ヶ浦にいるコブハクチョウの一部は渡りをせず、夏も霞ヶ浦に残り、繁殖をして、親子で姿が見られましたが、今は夏に見られる数は少なくなっているようです。
霞ヶ浦では北浦の水原(潮来市)に群れで渡って来ます。
オオハクチョウ |
体が黒っぽく、くちばしがまだ黄色でないハクチョウは幼鳥で、この夏に産まれた鳥です。 |
昔の霞ヶ浦に飛来したハクチョウはこのオオハクチョウとコハクチョウです。今の霞ヶ浦では、オオハクチョウが少し来ていますが、コハクチョウはほとんどいないようです。コハクチョウは霞ヶ浦の近くでは土浦市の乙戸沼で見られます。
コブハクチョウとはくちばしの違いで見分けられ、黒色をして根元が黄色です。オオハクチョウの方がコハクチョウより体が少し大きいのですが、くちばしの黄色の形で見分けられます。
オオハクチョウ(左)は黄色い部分が黒い部分に差し込んでいて、コハクチョウ(右)は黄色の部分が小さいです |
〜醜いアヒルの子〜
有名な童話のタイトルですが,その物語のとおり,体が白いきれいなハクチョウも子供の時は黒っぽい色をしています。くちばしの黄色も鮮やかではありません。これは白いと目立ちやすく、天敵に襲われるので、幼いときは目立たないような色になっているのです。乙戸沼のコハクチョウの群れ |
都鳥とも言われるカモメで、白っぽい体で、くちばしと足が赤色です。雑食性で、何でも食べます。東京ではゴミ捨て場で餌を探して群がっているのが見られます。
カモメは海というイメージがありますが、ユリカモメは海から離れ、川の中流でも見られるカモメです。人慣れ易い鳥ですが、くちばしで突かれることもあるので、注意が必要です。
くちばしは黒くて長く、先の方が少し下に曲がっています。蓮田や水田で、長いくちばしを泥に差し込み、泥の中にいる虫や貝などを食べます。
冬鳥で、群れをつくって行動し、一斉に飛びたち、飛んでいる時は白っぽく見えます。
オオヨシキリの巣 |
湖岸のどこのヨシ原でも見られる、おなじみの夏鳥で、「ギギッショ、ギギッショ」と大きな鳴き声がするので、姿は見えなくても居ることがわかります。よく、ヨシの先に止まり、風にユラユラ揺れながら鳴いています。巣はヨシ原の高い所に造りますが、これはヘビやイタチなどの天敵から雛を守るためです。
もし鳴いている鳥を見つけたら、大きく開いた口を見て下さい。きれいな赤色をしています。
(写真撮影:川崎慎二氏)
トンビとも言います。霞ヶ浦周辺ではどこでも見られる大型の鳥です。天気の良い日には「ピーヒョロ、ピーヒョロ」と鳴きながら上昇気流の中で円を描きながら高く昇っていきます。飛んでいる時は大きな三角形の尾羽が目立ちます。電柱の天辺などに止まっていることもあります。タカの仲間で、肉をよく食べますが、雑食性でいろいろな物を食べます。
(写真撮影:川崎慎二氏)
白黒色の鳥で、長い尾羽が特徴です。盛んに尾羽を上下に振り、堤防のコンクリート場などをとことこ歩いています。頬が白いのはハクセキレイです。似た鳥にセグロセキレイがいます。セグロセキレイの背中は黒っぽくて、頬も黒いです。
人懐っこい鳥で、人の近くでも寄ってきますし、人が近寄ってもすぐには逃げません。
夏鳥で、オスは繁殖期に、草地で縄張りをつくり、盛んに鳴いています。繁殖期の雄の鳴き声に特徴があり、「ヒィ、ヒィ」と鳴いて波状に上昇飛行し、草むらに降りる時は「チャ、チャ」と鳴き声が変わります。
(写真撮影:野尻智治氏)
冬鳥で、人家の庭によく来ますが、ヨシ原でも見られます。尾が長く、黄橙色の胸と腰が目立ちます。翼に大きな白い班があります。メスは腰が黄橙色ですが、あとは薄い褐色をしています。
長い尾をして、胸のオレンジ色、目の周りが黒いのが目立ち、背中はねずみ色をしています。
夏は山の上の涼しい所で生活し、秋になると里へ下りて来る冬鳥です。木の天辺などで「キチ、キチ」とか「キキキー」と鋭く鳴き、秋が来たことを知らせています。これを「モズの高鳴き」と言います。
小魚を刺したモズのはやにえ |
昆虫や小魚を捕まえて木の枝に刺すことをして、これを「モズのはやにえ」と呼んでいます。赤茶色の胸と長い尾が目立ちます。くちばしの先が昆虫を捕らえるために、鋭く曲がっています。
(写真撮影:川崎慎二氏)
ハシブトガラス |
ハシボソガラス |
カラスにはくちばしが太いハシブトガラスと、くちばしが細いハシボソガラスの2種がいますが、見分けるのは慣れないと大変かもしれません。鳴き声がハシブトガラスは「カー、カー」と澄んだ声、ハシボソガラスは「ガー、ガー」と濁った声なので、こちらで判断するのが簡単でしょう。霞ヶ浦湖岸で、カラスがトビを追いかけまわしているのが、見られることもあります。
(写真撮影:川崎慎二氏)
誰もが知っている、なじみ深い鳥です。
(写真撮影:川崎慎二氏)
ヨシ原に群れているツバメ |
やはり、なじみ深い鳥です。意外だと感じる人もいるでしょうが、ツバメも霞ヶ浦の湖岸に居る鳥です。ツバメは春に南国から飛来して、人家に巣をつくり、卵を産み子育てし、子供が巣立ちした後は、集団で湖岸のヨシ原を塒にしています。それは、ヨシ原には、たくさんの餌となる虫がいるからです。夏場に堤防の上を飛んでいる姿が見られます。
(写真撮影:川崎慎二氏)
スズメやカラスのように一年中同じ場所に居る鳥を留鳥と呼びます。ほとんどの鳥は季節により、いる場所を移動しています。夏鳥はツバメやチュウヒ、キビタキのように夏に見られる鳥を指します。冬鳥はほとんどのカモやツグミのように冬に見られる鳥です。夏鳥と冬鳥は外国と移動する鳥を指しますが、日本国内でも移動する鳥がいます。たとえば里と山、九州と北海道を移動する鳥で、漂鳥と言います。漂鳥にはウグイスやモズ、ヒヨドリなどがいます。渡り鳥の中には、渡りの途中で日本に寄る鳥もいます。旅鳥と言い、毎年春と秋の2回、一定期間現れる鳥で、シギやチドリの仲間がいます。霞ヶ浦で常時見られる水鳥(留鳥)はオオバンとカイツブリ、アオサギ、ダイサギ、コサギいます。
なぜ渡りをするのか。正確には分かっていませんが、渡りをする鳥には、繁殖に適した気温があり、中緯度以上の季節変化で気温が変わる所では、鳥がそれぞれ適した気温の所に移動すると考えられます。また、カモ類の場合、シベリアなどのツンドラ地帯の冬は、雪と氷で覆われ、餌がありませんが、春になると一斉に植物が芽生え、柔らかい餌が豊富となり、繁殖に適した所になるので、移動していると思われます。
他に迷鳥と言う鳥がいます。この鳥は渡りをするときに、間違って仲間と違う場所に行ってしまった鳥です。本来なら見られない場所で見ることができるので、愛鳥家にとっては貴重な存在です。
サギは繁殖する時に集団で巣をつくります。この場所をコロニーと言います。
桜川の学園大橋では河川敷のアズマネザサの竹やぶにコサギ、アマサギ、ゴイサギが巨大なコロニーをつくっています。巣の材料には竹やぶの中に落ちている、アズマネザサの茎などを使用しています。
ダイサギは高い木の上にコロニーをつくります。
コロニーができると、その周辺は糞で白くなり、匂いもしますし、また、たくさん集まると鳴き声もうるさくなり、近くの住民からは嫌われます。特にダイサギは「グワー、グワー」と大きい声で鳴きます。
霞ヶ浦でカワウをたくさん見かけますが、霞ヶ浦周辺でコロニーは見られません。離れた別の場所にコロニーをつくり、餌を食べに来ているようです。
杉林の高い所にコロニーを造るダイサギ |
桜川の学園大橋河川敷のコロニー |
温めている卵をひっくり返しているコサギ |
捕ってきた餌を子供に与えているコサギ |
霞ヶ浦には、時々周辺の沼から珍客が訪れることがあります。いずれも、外国から人為的に入れた鳥で、半飼い鳥です。
南米の鳥で、食用に家禽化され、日本にも持ち込まれたのが、野生化したものです。大型のカモで、白い頭で赤い顔が目立ちます。土浦市の乙戸沼などで繁殖しています。一時、土浦入りに現れたことがあります。
白鳥の仲間で体全体が黒色をして、くちばしは赤色しています。「ブラックスワン」とも呼ばれ、公園などで飼われています。千波湖で繁殖していて、そこから霞ヶ浦へ現れることもあり、真っ黒い大きな鳥が、霞ヶ浦を悠々と泳いでいるのが観察されています。
寺社や公園にいるハト(カワラバト)は「ドバト」とも呼び、非常に人慣れしているハトです。
東京上野の不忍池にもたくさんカモがいますが、昔、公園に来る人が鳥にパンなどの餌を撒いていました。カルガモなどのカモは、次第にその餌を食べに散策路まで上がってきて、ドバトのように人を恐れず、人のすぐそばに寄ってきて餌をねだったりしていました。それで、散策道はカモの糞で汚れるようにもなりました。この、ドバトの様に人慣れしてしまったカモを、一部の人が「ドガモ」と名付けました。
野鳥に餌をあげていると、段々と人慣れをしてきて、人が近づいても逃げなくなり、さらに可愛く感じられてもきますが、しかし、鳥が人家に近づきゴミなどをあさって、周囲を汚したり、人が近寄った時にくちばしでつつかれることもあります。特に、子育てをしている時には、警戒心が強くなり、威嚇をして向かってくることもあり、危険です。また、餌が豊富であれば、子育てがしやすくなるので、繁殖力が強くなり、個体数がどんどん増えてきます。そして生態系のバランスが崩れることが考えられます。また、水鳥に餌をやると、食べ残しや餌クズで水が汚染されることもあります。野鳥に餌をやることは、野鳥にとっても、環境にとっても良いことではないようです。最近は野鳥に近づくと鳥インフルエンザウイルスに感染する心配もあります。野鳥と付き合うには、常に野鳥と距離を置くことが大切です。
霞ヶ浦に来るカモがドガモと呼ばれることがないように、鳥たちをやさしく見守ってあげましょう。
霞ケ浦総合公園、沖宿(土浦市)、稲波干拓、妙岐の鼻(稲敷市)、高浜(石岡市)、歩崎公園(かすみがうら市)など
水原(潮来市)、巴川河口(鉾田市)など
トンボ公園(潮来市)など
乙戸沼、鶴沼(土浦市)、洞峰沼(つくば市)、柏原池(石岡市)、砂沼(下妻市)、牛久沼(龍ケ崎市)
自然に優しいマナーを心がけましょう。
茨城県霞ケ浦環境科学センター 環境活動推進課
〒300-0023 茨城県土浦市沖宿町1853番地
電話 029-828-0961 FAX 029-828-0967