霞ケ浦環境科学センターでは、霞ケ浦の水質汚濁の原因を探るため、流域からの汚濁物質の流入状況や湖内の栄養塩や植物プランクトン発生状況などを研究するとともに、さらに茨城県内の大気や騒音についても研究しています。
今回の発表会では、天野一男 茨城大学教授から「茨城県におけるジオパーク事業の展開と地域振興」のテーマで基調講演をしていただき、あわせて流入負荷や霞ケ浦のリン、アオコ調査、茨城県内のPM2.5等、当センターで実施している事業の成果について発表しました。
主な質問として、循環灌漑による機場管理や稲の収量の影響はどうか、リンの溶出に関係する湖内の溶存酸素濃度の変化は頻繁に起きているのか、アオコの発生を抑制した要因の1つとして挙げた窒素濃度の低下がなぜ起きたのか、PM2.5の中国からの影響があるのか等、多くの質問がよせられました。
また、展示室において霞ヶ浦の浄化対策や研究部門の調査研究事業についてポスター展示を行いました。
天野一男 国立大学法人茨城大学教授
2011年9月に茨城県北地域は日本ジオパーク委員会の認定を受け、日本ジオパークネットワーク(JGN)の正式メンバーとなりました。また、筑波山地域は同ネットワークの認定を目指しています。今後、以上の2地域を中心に、茨城県においてジオパーク事業が活発に展開されることが予想されます。ジオパークは、特徴ある貴重な自然(ジオ)とその地域の歴史・文化を総合して、それらを資源とした知的観光旅行(ジオツアー)、地域の教育を通じて地域振興を目指す事業です。茨城県におけるジオパークの可能性について講演していただきました。
かんがい期に循環かんがいを行った水田の非かんがい期の流出負荷量を、循環かんがいを行っていない水田の流出負荷量と比較して、流出負荷抑制効果を報告しました。
霞ヶ浦の底泥を用いた室内実験により、底泥直上水DO濃度と、底泥直上水と間隙水中PO4-Pの濃度勾配の関係を調査し、底泥からのリンの溶出機構について報告しました。
今年6月から9月の間に実施したアオコ調査の結果を報告しました。また、その結果と気象条件などを照らし合わせ、今年度におけるアオコの発生要因を検証しました。
平成24年度の茨城県内各地点のPM2.5の調査結果を報告するとともに、PM2.5と他の大気汚染物質との関係について報告しました。
展示室において霞ヶ浦の浄化対策や研究部門の調査研究事業についてポスター展示を行いました。アオコ抑制装置設置事業や土浦港直接浄化事業等の浄化対策や霞ヶ浦の植物プランクトン、有機物、窒素およびリンに関する調査研究、流域からの負荷に関する調査研究、騒音、大気、地下水汚染に関する調査研究について展示しました。