霞ケ浦環境科学センターでは、毎年年末に、主に湖沼環境研究し及び大気・化学物質研究室で 取り組んだ成果を広く県民の皆様にご報告することを目的に、成果発表会を開催しています。
霞ケ浦環境科学センターでは、霞ヶ浦の水質汚濁の原因を探るため、流域からの汚濁物質の流入状況や湖内での植物プランクトン発生状況などの研究を進めています。
今回の発表会では、霞ヶ浦に造詣の深いの相ア守弘 島根大学名誉教授から「ゼオライトプロジェクト− 江戸の資源循環の再生を目指して −」のテーマで基調講演をしていただき、あわせて、「平成24年度アオコ調査結果について」など当センターで実施している事業の成果について発表しました。
パンフレット(271KB)
ゼオライトはアンモニア態窒素やセシウムを取り込む能力がある鉱物です。
これまでの研究の結果、ゼオライトは、農業集落排水から窒素や有機物を除去することができ、農作物への有効な肥料として再利用できることが判明しました。
また、原発事故で汚染された土壌にゼオライトを用いることにより、作物へのセシウムの移行を減少できることが判明しました。
センターで実施している、霞ヶ浦湖上体験スクール、霞ヶ浦出前講座、自然観察会などの環境学習や市民活動を支援する事業の実績を報告しました。
霞ヶ浦の底泥では、窒素が除去される現象(脱窒といいます)がおこっています。その速度について霞ヶ浦全域を対象に1年間調査し、年間の脱窒量を算出しました。それを元に、霞ヶ浦に流入する窒素の総負荷量と比較し、霞ヶ浦底泥の脱窒作用が霞ヶ浦の窒素負荷削減にどのくらい寄与しているのかを算出した結果について報告しました。
霞ヶ浦湖水中の有機物の半分以上は水に溶けている物質です。その起源の一つとして植物プランクトンの分解物が考えられますが、どの程度寄与しているかは不明です。そこで、その寄与率を把握するための実験を行ったので報告しました。
霞ヶ浦では近年、夏季にアオコが大量に発生する現象がみられています。そこで、アオコの原因となるラン藻類に含まれるフィコシアニンの濃度を測定し、その変動要因について考察を行ったので報告しました。
北浦において、アオコの大半を占めるミクロキスティスについて調査しました。北浦では、地点によって栄養塩濃度に大きな違いがあります。そこで、ミクロキスティスの発生と、栄養塩との関係を把握し、アオコ発生に関係する環境要因を考察したので報告しました。
県内における大気汚染の状況について、微小粒子状物質、光化学オキシダント等の挙動や、継続的に摂取した場合、人の健康を損なうおそれがある有害大気汚染物質等の調査結果について報告しました。