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第4回(第11回世界湖沼会議:ケニア、2005年)受賞論文一覧
No.1
- 氏名:
Dr. Tek Bahadur Gurung
- 国籍:
ネパール
- 表題:
発展途上国の貧困に苦しむ地域の湖沼保全に適合した方法
- 研究内容(abstract概要):
ネパール中心部の約100haの小さな湖を回復させるために、それを取り巻く社会集団との関連についてケーススタディーしたもの。
この湖は、貧困に苦しむ丘陵地帯の中央に位置し、豊富な生物多様性とんと雨滴な漁村を有している。500ha未満の湖および湿地などは、最終的に「湖の変遷」で草原に変化すると一般的に考えられている。
そのような小さな湖は、社会的、環境的、生態学的に多くの有益性を有しており、その消失は、仕事や収益を減らす。
これらは、最終的には、食糧難や素早い変化への対応に苦しんでいる地域への混乱へと繋がる。
この湖を回復させるため、伝統的な漁業者と女性労働者の公平性を優先させている。 そして、地域の生物多様性と漁場は改善されている。
研究は、小さな湖を残すために、共同体がそれらの保全・公平性を伴うコミュニティーにコネクトすることで、持続的および経済的に生存可能な方法であることを意味する。
No.2
- 氏名:
Dr.K.D.W. Nandalal
Mr.K.G.M.A.C.S.Abeysinghe
Dr.S.Piyasiri
- 国籍:
スリランカ
- 表題:
貯水池における水質の改善:スリランカKotmale貯水池の例
- 研究内容(abstract概要):
Kotmale貯水池は、スリランカにおける水資源開発計画の最も重要な貯水池であるが、近年いくつかの水質に関係した問題に直面している。
Kotmale貯水池の水質予測を目的に1次元のreservoir hydrodynamic water quality model を計算し、検証した。
モデルは、水位、水温、塩分、密度に5つの水質項目(DO,NO3,NH4,PO4,pH)をシミュレート。
本稿では、3年間のDOの分布のみを提示するが、水量を変化させること、または放水口の操作がこの貯水池におけるDOの質を改善させるための施策に有効である可能性も示す。
No.3
- 氏名:
Asst.Prof. Winai Sea-Chew国籍:
タイ
- 表題:
シミュレーションモデル法を用いた湖における下水負荷拡散の研究
- 研究内容(abstract概要):
ソングクラ湖における水質の変化は、運河や湖周辺地域から排出される汚水によるもので、漁業、水生生物、水産、湖周辺の居住地に対し明らかに影響が認められる。ソングクラ湖に流入する大量の下水は、Sadao,Hytyai,Songkhla 地方の街や工場から来るものである。
シミュレーションモデル法による下水拡散の研究は、公害問題解決のアプローチ法である。目的は、運河による公害の影響の境界や程度を検討することである。
この研究は、Khong U-Tapao と Khlong Sam Rong 運河に注目した。
これらは、この流域で最も活動的な地域を通る主要運河であるからである。もう一方対象の運河としての Khlong Laem Po と Khlong Ku-Kut and Khlong Pavong 運河は、街から離れた地域を通り、それほど活動的な地域を通っていない。
前者は、Sadao,Hatyai,Songkhla 地方から入る生活系と工業系の排水が年々増加している。BOD,バクテリア群、DO,懸濁物のような汚濁は、二次元的シミュレーションモデルの入力データとして収集。潮汐、風速、流況流速、水深、海底地形、運河の性質などの初期境界条件や基本的パラメータは、重要である。
汚濁のデータを含むこれらのフィールドデータの収集は乾期に行われ、雨による高い負荷の影響は除いた。
外海からの波は、汚水の拡散と循環の動きに影響する。これらの動きは、運河からの水の流れに関係して湖内で渦を形成した。
Khong U-Tapao からの汚水の排出は、河口から2Km以上も覆うことが判った。また、汚水はタイ湾に排出されるよりも、湖内に長い期間留まっていることが判った。汚水の外海への排出が遅れる重要な因子は、Songkhla 湖からタイ湾への出口が細いこと、密度流、新港の建設、湖出口の砂の堆積であると考えられる。
No.4
- 氏名:
Dr.Bardukh Gabrielyan
Mr.Khosrovyan Alla
- 国籍:
アルメニア
- 表題:
水産業を営むためセヴァン湖における富栄養化の削減
- 研究内容(abstract概要):
淡水の富栄養化は世界で一般的な問題で、この研究では、セヴァン湖で残存しているストックから魚類生産量を最適化すること。
プランクトン食性魚が餌として総動物性プランクトンバイオマスを50%以上は利用しないという仮説の下に、漁業バイオマスと動物性プラントンバイオマスとの関係を定量化し、統計による解析を行い、重大な関連性を見いだした。
その結果、総産卵バイオマスの20%を釣ることが、残存の甲殻類の50%消費につながることから、ホワイトフィッシュ個体数の再生産能力を維持するためには、漁業バイオマスを50%に維持する必要があり、安定な個体の増加と個体数の再生を保証するためには、獲る魚を20%にすることが有効である。
No.5
- 氏名:
Dr.S.P.Bako
Dr.M.L.Balarabe
- 国籍:
ナイジェリア
- 表題:
ナイジェリアサバンナの中間サイズの湖における生物および無機物要素に関連した大型水生植物の発生
- 研究内容(abstract概要):
ナイジェリア北ギアナサバンナの町付近に位置した中間サイズの人造湖において、生物および無生物要因による大型水生植物の発生パターンを評価するため、雨期および乾期の2シーズンで調査。
乾期においては、総溶存個体量、栄養塩濃度、植物プランクトンおよび土壌形態指標の2割減少が同時に起こった。一方、透明度、電気伝導度、水温、pHおよび溶存酸素濃度は増加。11種の大型水生植物は減少、沈水生大型植物個体群については増加した。
豊富に増加した種および優先した種は、ワムシおよびカイアシ類であり、湖の物理化学的性質は、大型水生植物個体群の発生および分布に影響し、動物プランクトンの個体数と相対的な増加に著しく影響した。
No.6
- 氏名:
Dr.M.L.Balarabe
Mr.J.K.Balogun
- 国籍:
ナイジェリア
- 表題:
小さな貯水池の問題:ナイジェリア北部のサバンナ地方におけるMAKWAYE湖の場合
- 研究内容(abstract概要):
気候の変化や人間活動は、ナイジェリア北部のサバンナ地方における湖の集水池の周辺で何年も激変してきた。降雨量分布パターンは、砂漠化と人口増加の脅威を不規則に結びつけている。森林伐採、低木の燃焼、家畜の過放牧、集約的な農業、農薬のでたらめな使用が増えている。これらは、水の生態系に有害な影響がある。貯水池の貯水容量や物理化学的・生物学的特徴は、集水地の特徴、人間活動、気候形態に依存する。これらの密接な関係は、シルトの増加、貯水容量の減少、富栄養化、水草の蔓延を生み、その結果、水質状態や生産性を脅かす。
この論文では、人間活動の生態学的影響を強調し、できる限り改善する。
No.7
- 氏名:
Mr.John Momanyi Mironga
- 国籍:
ケニア
- 表題:
ケニア、ナイヴィシャ湖におけるホテイアオイの進入による環境影響
- 研究内容(abstract概要):
ナイヴィシャ湖では、およそ16年間でホテイアオイが激増し、沿岸部周辺に生育、大規模な可動性の水草によって埋め尽くされた。
この水草の進入は、様々な社会・経済的および生態的影響を与えている。
本研究は、ホテイアオイの繁茂がナイヴィシャ湖における豊かな植物相と動物相にどのような影響を及ぼしているか調査,さらに、1988年以降のホテイアオイ分布の変化と植物、無脊椎動物の種を記録し、異なる大きさのホテイアオイの浮島の組成について分析。
調査の結果、湖沿岸部へのホテイアオイ群生の進入は、生態的に不利な点と有利な点があることが判明。
沿岸線周辺部は、既存種と浮遊水生植物によって覆われ、群生下の水環境は、開放水界面を除き、大部分で酸素が不足、従って、重要な魚類の生育域、捕食場所と同じく漁場が悪環境になった。
また、開放水界面における群生中では、大型無脊椎動物の多様性と現存量が増加するにもかかわらず、ホテイアオイの群生の中では双方とも低下する。 水草群生マットの縁は、高い生物多様性を持ち、水草群生マットの移動は、生物多様性の拡散に寄与。
ホテイアオイは、深刻な経済的、社会及び環境影響を引き起こすにもかかわらず、制御することにより有害な影響の減少が期待されるために、ナイヴィシャ湖湖心における発達の維持を許容している。
ダメージレベルの定量的調査と制御に対するコスト、生計の損失、病気、ホテイアオイによって引き起こされる通常計画の中断についてより詳細な研究を行う必要がある。
No.8
- 氏名:
Mr.Romulus Abila
Mr.Joseph O.Rasowo
Mr.Julius Manyala
- 国籍:
ケニア
- 表題:
熱帯湿地帯における湖エコシステムの生物多様性と持続可能な管理
- 研究内容(abstract概要):
様々な動物が生息している、カンヤボリ湖とその周辺のヤラ湿地帯は、生物多様性を持つ地域として重要である。湖と隣接する湿地は、湿地の資源に強く依存している地域社会において重要な役目を負っている。近年の大きな土地利用の変化は、湿地生態系を脅かす。従って、カンヤボリ湖と隣接するヤラ湿地帯を保護するため、適正な管理と自然保護の対策を行うことは急務である。この論文は、カンヤボリ湖と隣接する湿地について、また、湖の生態系が直面している脅威についてのレビューである。
ヤラ湿地帯の生態系についての紹介と生態系を保全するための提案においては、パピルス産業の推進、水産業の推進、観光資源化、エネルギー資源化を提案。
No.9
- 氏名:
Ms.Portia Chiyedza Chifamba
- 国籍:
ジンバブエ
- 表題:
カリバ湖での外来種導入による在来種の空間的、歴史的変化
- 研究内容(abstract概要):
カリバ湖の特定水域の9地点で、テラピアの導入種と在来種の分布パターンを解析、またそれぞれの地点における環境の違いが漁獲に及ぼす関係を調査。養殖場付近では導入種の割合が高く、また年とともに速いペースで増加を続ける導入種を問題視している。
No.10
- 氏名:
Porf.Eduardo von Sperling
Mr.Cesar Augusto Paulino Granchamp
- 国籍:
ブラジル
- 表題:
鉱業湖の陸水学:ブラジル・
AguasClarasの場合
- 研究内容(abstract概要):
鉱業湖は、水環境の新しいタイプで、技術論文で殆ど調査されていない。これらの湖は、一般的に細く、深く、従って、部分循環挙動が存在する。炭坑湖の生態学に関連づけている殆どの技術論文は、酸性的環境の形成を論じている。この論文では、鉄鉱石採掘から炭坑湖の形成の間の一般的な陸水学的局面を述べる。アグアス・クララス湖は、ブラジル、ベロオリゾンテの都市の近くにあり、地質学の領域ではIron Quadrangle として知られる。原石は赤鉄鉱であり、硫黄の内部から遊離している。そこには、酸性排水の問題はない。湖を満たすために使われる水は、近くの川から補足的な揚水や地下水、雨水である。最終段階は2010年頃に達成される。アグアス・クララス湖は、表面積 0.67 Km2, 深さ234m で国では最も深い湖になるだろう。広範囲なモニタリング計画(月1回)は、2001年から実施、結果はとても良い水質を示し、汚染物質は殆ど取り除かれている。
アグアス・クララス湖の陸水学において最も目立っているのは、Chlorophyta,Chrysohyta,yrrophyta の優勢に伴う藻の優勢の頻繁な変化である。動物プランクトン群の構成に関しては、Rotifera や Crustacea の支配における明確な交替が観察される。アグアス・クララス湖の環境学に最も関連する発行物のひとつは、水塊の目的地である。
良好な水質の保護のため湖の可能な利用は、レクリエーション、快適な価格と給水に向けられるであろう。